当院では自宅での簡易検査と精密検査(PSG検査)、CPAP治療を行っております。
睡眠時無呼吸症候群とは?
英語で「Sleep Apnea Syndrome」といい、頭文字をとってSASと呼ばれ、閉塞性(OSAS)と中枢性(CSAS)に分けられます。
病態で多いものは閉塞性(OSAS)で、睡眠時に空気の通り道(気道)が狭くなる、塞がることによって起こります。
OSASになると、睡眠中に低酸素状態となり、少ない酸素を全身に送るために心臓や血管に負担がかかります。
この状態が長く続くと、健常人と比較して次のようなさまざまな疾病を引き起こす可能性があります。
- 脳卒中 3.51倍
- 心不全 4.3倍
- 高血圧 2.14倍
- 虚血性心疾患 2.54倍
- 不整脈3.26倍
- 糖尿病 2.29倍
症状
睡眠中に呼吸が止まる、浅く弱くなることで十分な睡眠を取ることができず、日常生活に支障を来します。
昼間の症状 |
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夜間の症状 |
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診断
診断には、AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)を用います。
これは、1時間に10秒以上の低呼吸・無呼吸が発生する回数を示すものです。
AHIを5回以上認めさらに症状を伴う、もしくはAHIを15回以上認めることで、SASと診断されます。
また、SASの重症度はAHIで決められています(下図)。

検査
簡易検査:アプノモニター
無呼吸と低呼吸の回数からAHIや酸素飽和度の低下について調べます。
AHIが40回以上の場合は、CPAP治療の適応となります。
AHIが40回未満の場合は、精密検査を行います。
精密検査:睡眠ポリグラフ検査(PSG:polysomnography)
酸素飽和濃度、眼球運動、呼吸状態、脳波、おとがい筋電図、心電図などから睡眠効率や睡眠段階の割合の測定を行い、また、AHIから重症度の評価をします。
AHIが20回以上の場合は、CPAP療法の適応となります。
AHIが20回未満の場合は、生活習慣の改善やその他の治療が検討されます。

治療
CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療を行います。
CPAPの装置から空気を気道に送り、常に圧をかけて気道が塞がらないようにします。これにより、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、SASによる症状の改善が期待されます。
また、CPAP療法により降圧効果(血圧を下げる)の報告もあります。
生活習慣の改善
- 減量
- 肥満が原因の場合には、効果が期待されます。
- 体位
- 横向きに寝ると症状が軽減する場合があります。
- 減酒
- アルコールには筋肉を緩める作用があり、気道の閉塞を起こしやすくなります。
受診から治療の流れ
- 当院外来へ受診していただきます。
- 検査機器が機器取扱業者からご自宅へ郵送されます。
- 検査後、機器を取扱業者へ郵送していただきます。
- 検査結果は当院で説明いたします(検査結果が届き次第、ご連絡させて頂きます)。
- 基準を満たし治療を行う場合は、CPAP機器が業者より郵送されます。
- 治療開始後は、定期的に外来通院していただきます。
CPAP療法は、検査で基準を満たせば健康保険の適用になります。
治療開始後は、定期的な外来受診が必要になります。